肘の痛み、野球肘とは?原因から予防法まで徹底解説!

こんにちは!こばやし接骨整骨院グループ(京都市)です。

「野球肘」という言葉を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

特に野球をプレーするお子さまを持つご家庭では、身近な問題として感じられるかもしれません。

・投球後に肘が痛む
・力が入らない

といった症状が出ている場合、それは野球肘かもしれません。

実際に、プロ野球選手でも同じ問題に苦しむケースがあります。

たとえば、大谷翔平選手が2024年のシーズンでピッチャーを控え、バッターに専念したのも肘の手術とリハビリが理由です。

このように、野球肘はプロからアマチュアまで幅広い層に影響を与える深刻な症状です

この記事では、野球肘の特徴、原因・予防法などを紹介していきます。

野球肘の原因

野球肘の主な原因は、投球動作による肘への過剰な負担です。

特に、投球数が多い選手やフォームに問題がある場合、肘にかかるストレスが蓄積され、ケガにつながります。

野球での投球動作は、画像で見られる様に前腕部と手部を後ろに残しつつ、肩と肘が先行していく形になります。

この時、肘には画像の矢印の様なストレスがかかります。

同時に、前腕の筋肉が極度に収縮します。

肘の外側には圧縮する力がかかり、内側には牽引する力がかかります。

これが反復される事により、怪我が起こります。

野球肘の種類と特徴

野球肘は3つの型に分類されます。

それぞれ症状や発生メカニズムが異なるため、詳しく解説します。

1.内側型

この型が最も多いです。

これは肘の内側を痛める事を言います。

肘には様々な軟部組織があり、内外の両方に強い靱帯があります。

特に内側の靱帯は強い組織で構成されていますが、投球動作による繰り返しの負担によってこの靱帯が損傷する事があります。

この損傷度も3つに分ける事ができ、

・1度損傷(軽度)
・2度損傷(中等度)
・3度損傷(重症)

に分けられます。

子供はまだ骨が完全に成長しきっていないため、裂離骨折が起こる事があります。

これは、成長段階の骨に筋肉や靱帯の引っ張る力が繰り返し起こる事によって、肘の内側の出っ張り(内側上顆)で起こる骨折です。

稀に肘の成長軟骨を痛めて、これが離開してしまうこともあります。

治し切れず放置してしまうと、将来的に成長障害が起こり、腕を回旋する事がやりにくくなります。

また、肘の内側には神経が通っているため、この神経が圧迫されたり、傷ついたりすると痺れを残したりする事があります。

2.外側型

外側型は、肘の外側に繰り返しの圧迫力が加わり引き起こされる怪我です。

上腕骨と橈骨(とうこつ)が衝突して起こる怪我で、離断性骨軟骨炎と言います。

これは、野球肘の中でも最も重症例の一つです。

酷くなると、関節の中に欠けた関節軟骨が残ってしまい、関節ネズミ(※)となったり肘が変形して動きが悪くなったりします。

この離断性骨軟骨炎は、発見が初期であれば投球禁止で治癒する事が可能ですが、末期になると手術が必要となるケースが多いです。

類似する症状として、パンナー病があります。

パンナー病は、5〜10歳の男子に多く、離断性骨軟骨炎と同様に肘の外側に痛みが出て来ます。

稀な病気ではありますが、肘の外側に圧迫力がかかり炎症を伴い、痛みと可動域に制限をかける事があります。パンナー病は稀な病気ですが予後は良好と言われています。

離断性骨軟骨炎はエコーでも発見する事ができ、当院でも症例があります。

画像は実際にエコーで検査して発見されたものです。


この様にしてエコーを用いて検査すると早期発見にもつながります。

※関節ネズミは関節の中に軟骨や骨が残される事によって曲げ伸ばしした時に引っかかったり、痛みが出たりする事。

3.後方型

後方型は、ボールを投げた後のフォロースルー(肘を伸ばしきった状態)で痛みが出る事が特徴です。

後方型には3つの症状があります。

1.肘頭骨端線閉鎖不全

成長期の骨端線(骨の成長部分)に負担がかかり起きる怪我です。

骨端線は中学〜高校生の年齢でなくなります。

ボールを投げた時、肘が伸びきった時に骨と骨同士に衝突が起こり、骨端線が開くような力が働きます。

これにより、骨端線の癒合が遅くなり、骨が離れて骨折のようになる事があります。

2.疲労骨折

ボールを投げた後に生じる外力が繰り返される事により、骨と骨同士が衝突し疲労骨折が起こる事があります。

骨の成長が終わった頃の中学生上学年〜高校生にかけてが多く見られます。

3.骨棘形成

骨棘とは、繰り返しの衝突や牽引により余分な骨ができてしまう状態です。

肘においては、骨同士の衝突で起こり、骨棘が折れてしまったり、引っかかったりする事で痛みが出てしまいます。

筆者も野球の現役時代に骨棘に悩まされました。

筆者の場合は骨折までは至りませんでしたが、投球禁止し練習を制限する事と、投球ホームを見直し改善させる事で治癒しました。

野球肘の診断・治療

当院でも、野球肘については多くの診断・治療経験があります。

診断の流れとしては、

①徒手検査
②エコー検査
③画像診断など

のように進めていきます。

その中で固定が必要なもの、病院で再検査が必要なものなど判断します。

また、原因となるフォームを追求し動画に残してわかりやすくアドバイスさせて頂きます。

野球肘は必ずしもピッチャーだけがなる怪我ではありません。

全てのポジションの選手に起こり得ます。

内野手だろうが外野手だろうが関係はありません。

予防法としてフォームの見直しのほか、体の柔軟性を上げるのも重要です。

柔軟性については、単に下半身のストレッチをするのでなく、肩甲骨の動きを良くしたり、前腕をストレッチやマッサージで緩めてあげたりする事も大切です。

また、背骨の動きをよくしていく事も大切です。

背骨の動きをよくするとはあまりイメージが湧かないかも知れませんが、背骨も一つ一つ関節を作り可動性があります。

ここの動きが悪いと姿勢が悪くなり、思ったように体を動かす事が出来なくなります。

特に子供の時は、姿勢が悪くならないように管理し指導していく事が大切です。

当院でもしっかりアドバイスし良い姿勢、フォームを維持しやすくする為に治療をして行きます。

なぜフォームが大切かと言うと、一旦治ったとしても同じ使い方をしていれば、怪我を繰り返すリスクが高いからです。

お子さまから保護者さま、またチームのコーチや監督にも、わかりやすく納得してもらえる様に指導させていただきます。

まとめ

野球肘は、原因や症状が個々で異なり、適切なケアが必要です。

特に成長期のお子さまに発生した場合、放置すると将来の選手生活に影響を及ぼす可能性があります。

近年では小中学生を中心に肘、肩検診をしているチームも多くあります。

予防として前腕部の筋肉をほぐす事や、肩甲骨の動きをよくしておく事、ホームの改善などがありますが、中々詳しくこれを知っている人も少ないでしょうし、1人対処するには限界があると思います。

当院では、この様な体のケアから体の使い方を丁寧に説明し今後の選手生活を良いものにしてもらうよう、サポートして行きます。

またエコーを用いて実際に検査して画像で見れる事も可能です。

必要であれば固定具を作成したり地域の病院とも連絡をとって対応します。

お子さまの体の痛みあればすぐにご相談下さい。

この記事を書いた人 : 梅本 龍佑(柔道整復師)


京都市内で6院展開のこばやし接骨整骨院グループでは、肘の痛み・野球肘の治療はもちろん、ケガの治療から予防法の指導まであなたのベストパフォーマンスを追及します。体の痛み・辛さでお悩みの方はご相談ください。

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