肩関節脱臼の原因と対処・整復

脱臼とは、
「正常な関節に外力が働いて、通常の範囲以上の運動が強制され、関節を構成する骨の一方が関節包(関節を包む袋のような組織)を損傷して関節包外に出たもの」
のことをいいます。

脱臼の中でも、肩関節脱臼は最も発生頻度が多いケガです。

とくに、ラグビー・アメリカンフットボールなどのコンタクトスポーツ、柔道などで発生が多いです。

スポーツ選手でない方も、手をついて転倒したり、スノーボードなどの趣味をされていると強く手をつく機会が多く、肩関節脱臼を起こす恐れがあります。

この記事では、肩関節脱臼の対処・整復についてご紹介します。

肩関節脱臼とは

肩関節は人体の中でも最も大きく動く関節です。

大きく動くための構造をしている分、連結は緩く外れやすくなっています。

肩関節脱臼が起りやすい主な理由は次の通りです。

  1. 関節をつくる器の部分が浅い
  2. 動かせる範囲が各方向にきわめて広い
  3. 関節を包む関節包、周りを補強する靭帯というものにゆるみがある
  4. 関節の固定を周囲の筋肉に頼っている(他の関節は骨同士でガチっとはまっている)
  5. 体の中でも突出した部分で外力を受けやすい

という理由が挙げられます。

コンタクトスポーツでの衝突・投げる打つなど手を大きく動かす・転倒時に咄嗟に手をつくなど、大きな衝撃が加わりやすい部位だということは想像しやすいかと思います。

上記のような場面で、腕が後ろにそらされ、限界を超えた時に腕の骨が前方に外れてしまう肩関節前方脱臼の発生が多くを占めます。

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↑肩関節は腕の骨と肩甲骨で構成されている
腕の骨の先の頭の部分に対して、肩甲骨のくぼみが浅い。
それゆえに大きく動くことができる。

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↑肩関節の靭帯

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↑肩関節を支持するインナーマッスル

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↑インナーマッスルのさらに外側を覆うアウターマッスル

肩の関節は骨同士の連結が浅い分、筋肉や靭帯で関節を支えています。

肩関節脱臼の症状

①痛み

強い痛みを感じ、わずかな動きもできなくなります。

②腫れ

肩関節脱臼のみですぐに患部が大きく腫れるということはありません。同様の発生条件で腕の骨が折れる場合があります。骨折の場合は早急にかつ著明に腫れが出現します。

③動かせない

痛みや不安感で動かせない理由もありますが、関節が外れているので痛みがなかったとしても外れたその形から動かせません。関節が元の形に戻らないと動きません。
肩関節脱臼した場合は、外れた位置のままもう一方の手で支えるなど特徴的な体勢で来院されます。

肩関節脱臼|接骨院での対処

①状況確認

転倒した際の手の付き方などケガの状況は脱臼の判断材料になります。

②固有症状の確認

⑴弾発性固定

関節から骨が外れており、正常な動きができません。他の人が動かすとわずかに動きますが、バネのような弾力性の抵抗があり、手を離すと元の形に戻ってしまいます。

⑵関節の変形

関節が外れると一方の骨が大きくずれますので関節の変形が確認できます。

本来は骨頭(骨の端)がないところで骨頭を触知することができ、また元々骨頭があった関節の中は空虚(空に)になり、押すとペコっと凹みます。

③血管・神経の損傷チェック

肩関節脱臼し外れた骨により周囲の血管、神経が圧迫され患肢の血行の障害や神経の麻痺がないか確認します。

④骨損傷など合併してないかチェック

肩関節脱臼時には大きな外力が働いており、周囲の骨が損傷している場合があるので確認します

⑤整復

整復とは、骨折・脱臼などによる骨の異常をもとの正常な状態に戻すことです。
↓実際に脱臼された患者様の整復動画です。

⑥整復後に再度血管や神経の損傷・異常がないかチェック

肩関節脱臼時に周辺の骨や軟骨の損傷を合併してないか、他の症状はないか確認します。

⑦整形外科に紹介し整復状態の確認を依頼

その後、整形外科と連携を取りながら患者様のライフスタイルに合わせた対処をとっていきます。

⑧後療法

再発防止と肩関節脱臼時に損傷した関節の周囲の靭帯などの、軟部組織の回復のために固定し、患部の安静を図ります。

並行して患部の回復を促進する超音波療法を行い、損傷組織の早期の回復を図ります。

また回復の過程で関節が固まり、硬くならないように周囲の治療や、関節の可動域を回復するための徒手療法を段階的に進めていきます

肩関節脱臼後のテーピング

肩関節脱臼後の競技復帰は確実に再脱臼を防止しなければなりません。

脱臼を繰り返してしまうと、骨が外れる経路ができてしまい、容易に脱臼するようになってしまいます。

この場合オペの対象になります。

当院では動画のようなテーピングを施し、競技に参加できるよう処置いたします。

まとめ

今回は肩関節脱臼の対処についてご紹介しました。

早急に安全かつ無痛に元の状態に戻すことにより、関節の損傷を最小限に抑え、再脱臼のリスクなどを格段に下げることができます。

また、損傷を抑えることで早期の回復を目指すことができます。

当院グループでは、信頼のおける整形外科と連携し、患者様それぞれの置かれている状況などを考慮し、最善の方法を提案させていただきます。


京都市内で5院展開のこばやし接骨整骨院グループでは、肩関節脱臼の応急処置・治療はもちろん、体のケガの治療から予防法の指導まであなたのベストパフォーマンスを追及します。体の痛み・辛さでお悩みの方はご相談ください。

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